随意随想
「高齢者からの相談が年々増加しています」
大阪市消費者センター所長 前田三樹子
大阪市消費者センターでは、悪質商法の被害を受けた場合など消費生活上のさまざまなトラブルについて、大阪市内にお住まいの消費者を対象に相談を受け付け、解決のための助言やあっせんを行っています。
平成24年度に消費者センターで新たに受け付けた件数は2万607件で、そのうち60歳以上の方の相談割合は28・2%と増加傾向にあります。寄せられた相談の中からご注意いただきたいトラブル事例を紹介します。
【高齢者に多いトラブル事例】
○健康食品の送りつけ
「以前に注文いただいた健康食品を送ります」などと電話があり、「申し込んでいない」と断ると急に態度が変わり、「注文した時の録音がある」「裁判に出す」と脅して強引に商品を送りつけ、代金を取ろうとするトラブルが増加しています。
これは健康食品の送りつけ商法で、申し込んでいなければ、商品が届いても身に覚えのないことを配送業者の人に説明するなど、まず受け取りを拒否しましょう。受け取ってしまった場合でも代金を支払う義務はありません。電話で断り切れずに承諾し商品が届いてしまっても、クーリング・オフできる場合があります。
○金融商品トラブル
「高額配当が受け取れる」「損はしない」などと言葉巧みに勧誘され、未公開株、投資信託、海外先物取引などの金融商品を契約したところ、利益が出るどころか殆どお金が戻らなかった、などという相談も多く寄せられています。
また、過去に未公開株やファンド型投資商品で被害に遭った方に、被害回復を装い新たな金融商品等の購入を勧誘する悪質なケース(二次被害)もありました。取引内容がよくわからない、説明を受けても理解できない契約は、曖昧な返事はせずにきっぱりと断ることが重要です。
○新聞勧誘トラブル
新聞の訪問販売について、高齢の方のトラブルが目立っています。中には10年を超えるような長期間の契約を結び、解約を申し出ると高額な解約料や景品代を請求するケースが発生しています。また、販売員による強引な勧誘や、ウソの説明を聞いて契約してしまったケースもあります。
新聞契約については、長期の契約は避け、先の見通せる範囲で契約しましょう。高額な景品はトラブルのもとになりやすいので、受け取らないようにしましょう。
○屋根工事の契約トラブル
突然自宅を訪問し、「修理しないと大変なことになる」と不安をあおり、その場で契約を結ばせる屋根工事に関する相談も後を絶ちません。
「千円で鬼瓦の傾きを直す」と事業者に言われて承諾したが、作業後雨漏りを防ぐ屋根全体の工事を勧められ、その場で20万円の工事契約を結んでしまったケースがあります。
「瓦が浮いている」などの説明が事実でない場合もありますので、その場で契約せずに、本当に必要な工事かどうかを家族や周囲の人に相談しましょう。また、工事を頼む時は、複数の事業者から見積りを取るようにしてください。
なお、訪問販売の場合、工事が終わっていてもクーリング・オフできる場合があります。
○還付金詐欺
区役所や他の公的機関の職員をかたって、「国民健康保険や医療費などの還付金があるので、その払い戻し手続きが必要です」と言って電話をかけ、コンビニエンスストアや金融機関のATMに誘導し、言葉巧みにATMを操作させて別の口座に振り込ませるといった還付金詐欺が急増しています。
大阪市では、保険料や医療費などの還付金が発生した場合は、必ず文書で通知しています。相手は「今すぐ」「今日中に」などと言って急いで手続きさせようとしますが、その場ですぐに対応せず、相手の所属、氏名、連絡先を確認し、お住まいの区役所の担当課またはお近くの警察署へお問い合わせください。
【トラブルで困った時は…】
困った時は一人で悩まず、大阪市消費者センターの消費生活相談専用電話(6614―0999)へご相談ください。〔受付時間:午前10時〜午後5時 年中無休(年末年始を除く)〕
【地域講座のご案内】
大阪市消費者センターでは、地域の団体・グループなどからの要請により、無料で講師を派遣し、悪質商法の手口の紹介や対処法について、ビデオなどを用いながら説明する「地域講座」を実施しています。ぜひともご活用ください。
◆テーマ…悪質商法の被害にあわないために、高齢者を狙った悪質商法と対処法など
◆開催日…毎日(※夜間開催も可能です)
◆時間…30分から120分