随意随想

「ひとりで悩まず、まず相談 大阪市の消費生活相談窓口へ」

大阪市消費者センター所長 前田三樹子

大阪市消費者センターでは、悪質商法の被害を受けた場合や消費生活上のさまざまなトラブルについて、市内にお住まいの消費者を対象に、相談を受け付け、解決のための助言やあっせんを行っています。平成25年度に消費者センターで新たに受け付けた相談件数は2万2132件で、そのうち60歳以上の方の相談割合は30・2%と増加傾向にあります。

消費者庁の公表によると、昨年1年間で悪質商法や誇大広告などによる消費者の被害総額が、約6兆円に上るということです。これは、国民の13人に1人が1年間に何らかの消費者被害に遭い、被害に遭った方の平均被害額は約59万円に上り、国民1人当たりにすると、約4・7万円の被害を受けている計算になります。また、高齢者の消費生活相談の1件当たりの平均金額も増加しています。

寄せられた相談の中から、ご注意いただきたいトラブル事例を紹介します。

【高齢者に多いトラブル事例】

○健康食品の送りつけ

「以前に注文いただいた健康食品を送ります」などと電話があり、「申し込んでいない」と断ると、急に態度が変わり、「注文した時の録音がある」「裁判に出す」と脅して、強引に商品を送りつけ、代金を取ろうとするトラブルが増加しています。
これは、健康食品の送り付け商法で、申し込んでいなければ、商品が届いても身に覚えがないことを配送業者の人に説明するなど、まず受け取りを拒否しましょう。受け取ってしまった場合でも代金を支払う義務はありません。電話で断り切れずに承諾し、商品が届いてしまっても、クーリング・オフできる場合があります。

○金融商品トラブル

「高額配当が受け取れる」「損はしない」などと言葉巧みに勧誘され、未公開株、投資信託などの金融商品を「定期預金のようなもの」と思い込み契約したところ、利益が出るどころかほとんどお金が戻らなかった、などという相談も多く寄せられています。
また、過去に投資商品等で被害に遭った方に、被害回復を装い新たな金融商品等の購入を勧誘する悪質な二次被害もありました。取引内容がよくわからない、説明を受けても理解できない契約は、曖昧な返事はせずにきっぱりと断ることが重要です。

○住宅改修トラブル

突然自宅を訪問し、「修理しないと大変なことになる」と不安をあおり、その場で契約を結ばせる住宅改修工事に関する相談も後を絶ちません。
「無料で屋根の点検をします」と事業者に言われて承諾し、作業後雨漏りを防ぐ屋根全体の工事を勧められ、その場で高額な工事契約を結んでしまったケースがあります。
また、「介護保険による住宅改修工事を申請すれば、自己負担金が安くすむ」と事業者が勧誘するケースがありますが、条件によっては介護保険が利用できません。高額な工事費のため申請が却下になるケースや、申請前に工事を始めたが介護保険が適用されず違約金を請求されるケースがありました。
事業者の説明が「瓦が浮いている」などと事実でない場合もありますので、契約する前に、本当に必要な工事かどうかを、家族や友人、ケアマネージャー等の周囲の人に相談しましょう。また、工事を頼む時は、複数の事業者から見積りを取るようにしてください。
なお、訪問販売の場合、工事が終わっていても、クーリング・オフできる場合があります。

○還付金詐欺

区役所や他の官公庁の職員をかたり、「国民健康保険や医療費などの還付金の払い戻し手続きのため」などと言って電話をかけ、コンビニエンスストアや金融機関のATMに誘導し、言葉たくみにATMを操作させて別の口座に振り込ませるといった、還付金詐欺が発生しています。
大阪市では、保険料や医療費などの還付金が発生した場合は、必ず文書で通知しており、電話でATMから入出金の操作を依頼することは絶対にありません。相手は「今すぐ」「今日中に」などと言って急いで手続きさせようとしますが、その場ですぐに対応せず、相手の所属、氏名、連絡先を確認し、お住まいの区役所の担当課またはお近くの警察署へお問い合わせください。

【トラブルでこまった時は…】

少しでも不安を感じた場合には、お金を支払う前に、まず、大阪市消費者センターの消費生活相談専用電話(6614―0999)へご相談ください。

〔受付時間:午前10時〜午後5時(休み12月28日〜1月3日)〕

【地域講座のご案内】

 地域団体等からの申し込みにより、老人福祉センター等へ無料で講師を派遣し、悪質商法の手口の紹介や対処法について、ビデオなどを用いて説明する「地域講座」を実施しています。
◆テーマ…悪質商法の被害にあわないために、高齢者を狙った悪質商法と対処法など
◆開催日…毎日(※土日祝、夜間も可能)
◆時間…30分〜2時間
◆その他…原則30人以上(少人数の場合はご相談ください)
開催希望日の1カ月前までにお申し込みが必要
◆連絡先…大阪市消費者センター(TEL6614―7522 FAX6614―7525)

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